9mm・20mm・36mm・39mm・60mm・90mm
厚み(見付)や幅(見込み)など、使用する木材の各寸法です。
使用する木材は、
樹種を決め、見せ方・使い方・施工方法などを考慮し、加工寸法を検討・決定します。
そして、
その加工寸法に対して、設置する間隔・位置といった固定寸法も同時に検討・決定します。
今までの経験から直ぐに決める事ができる部分もありますが、
納まりの複雑な部分は、各寸法と設置位置を複数案検討しながら、良し悪しを比較し、最適な計画案を決定します。
木材の寸法に規則性を持たせることで、
視覚情報を整理し全体のデザイン性を統一しています。
また、
材料の流用など、加工性・施工性なども意識しています。
写真は、工事中の千葉市のお宅、吹抜け周りの木手摺です。
今回の計画で特に納まりが複雑な部分となります。
1階の吹抜け下から見上げた際、野暮ったくなく、美しく見えるように慎重に検討した部分です。
縦桟を吹抜け内側の壁面に持ち出して固定する方法であれば、 設計・施工両面で考慮すべき取り合いが減少し、工事が楽になります。
しかし、
その場合、縦桟の存在感が強くなりすぎて、野暮ったい印象を与えてしまう可能性があります。
また、
今回は吹抜け自体が小さいため、縦桟を持ち出すと、吹抜けがひと回り小さく見えてしまう懸念があります。
そこで、今回は「床面へ縦桟を取り付ける」という、少々複雑な(面倒な)納まりとしています。
ここで問題になってくるのが、平面的な各方向(X方向・Y方向)の揺れをどう抑えるか?という事です。
その問題点に対して、今回は、『三位一体|総持ち』という事を考えました。
縦桟・横桟(丸棒)・一番上の笠木
それぞれの木材は華奢な寸法ですが、
それらが三位一体となり、手摺としての機能を担保できるデザインです。
三つの材料が組み合わされる事で、
各方向(X方向・Y方向)の揺れを抑えつつ、視線の抜けを確保できる構成となっています。
笠木の終端に構造柱があることも好条件でした。
また、
この木手摺の縦桟はキャットウォークのスノコ床とも取合う為、
スノコ自体の寸法とスノコ同士の設置間隔に対して、木手摺をどの程度の間隔で立てるのか・・・など、
複雑な取り合いと全体のバランスを意識し決定しています。
大工さんも、図面から設計意図をくみ取り丁寧に施工してくださいました。ありがとうございます!
とても良い仕上がりになったと感じています。
断熱等級6(UA値:0.33)|耐震等級3(許容応力度設計)|長期優良住宅